当社の技術/固有の技術

エンジニア、プロジェクトを語る/「社会に役立ちたい」という想いが、困難に立ち向かう原動力となる。

当社のエンジニアがプラント建設にどう関わっていくのかを実例でお伝えしていきます。

エンジニアリング事業部
藤原 昌之

「一人のエンジニアがプロジェクトの始まりから終わりまでを一貫して見届けられるという当社独自のスタイルは、クライアントの安心感につながると同時に、技術者の成長を大きく加速させます。」

■紹介するプロジェクト
クライアント:エコシステム山陽株式会社(DOWAグループ)
プロジェクト:微量PCB汚染廃電気機器処理設備

高度成長期に社会問題化したPCB問題。現在は処理技術が開発され着実に無害化処理が進んでいる。しかし2002年、微量含有機器が確認され新たな処理が義務付けられることとなる。
そうした背景の中、DOWAテクノエンジのクライアントが処理施設の新設に踏み切ることとなった。
クライアントの要望は従来に比べ高い処理能力と低コスト化を実現できる「連続式加熱炉」の建設。これは同機能プラントの中でも前例のない全く新しい試みとなる。
依頼を受け、DOWAテクノエンジ内でプロジェクトチームが発足。
そのプロジェクトリーダーの藤原に話を聞いた。


「PCB処理そのものはすでに国内にいくつか設備がありますので、その技術を応用することはできます。しかし、連続処理ができるプラントは前例がありません。全くの手探りの中でのスタートでした。」

中でも最初に藤原を悩ませたのが、炉メーカーの協力をとりつけることだった。前例のない炉の建設という高リスクの仕事を引き受ける会社はなかなかない。断られ続けた中、あるメーカーが手をあげた。

「リスクを承知の上で『挑戦してみましょう』と言ってくれたんです。売上げや利益でなく、まさに心意気で請け負ってくれた。新しい試みには、リスクを恐れない情熱と挑戦意欲が不可欠なんです。」


 晴れて、前例のないプラント建設に向けてプロジェクトは本格的に動きだす。

「設計と検証試験の繰り返しです。様々な分野の技術者と検討を重ね、炉メーカーの小型試験炉を利用して温度や加熱時間などを微妙に変えながら、何度も試行錯誤を繰り返していきました。」

 小型試験炉での試験が成功し、いよいよ実際の詳細設計に入る。設計と一口に言ってもその数は膨大だ。処理フローやガスバランス計算などのプロセス設計、配置計画や作業動線などのレイアウト設計、炉や付帯設備などの機械・電気設計、操業や在庫管理などの計装・システム設計など多岐にわたる。
 この案件に関して言えば、プロジェクトスタートからすべての設計が出来上がるまでに2年以上の月日を要した。

「設計が完成したからと言っても安心はできません。むしろそれからが第二のスタートです。特にこのケースでは工事スペースが狭く、建築工事とプラント工事を同時進行するためにはいつも以上に緻密に現場をコントロールする必要がありました。」

 それでも藤原は、これまでの現場管理経験を活かし、見事にその課題をクリアした。

「当社の場合設計から完成までを一貫して担当する案件が多く、建築工事と同時進行で建設する現場も数多く経験してきていました。そのため工期を短縮化させるための設計や、建築工事の工程を見越した現場調整を自ら考えることができたので、困難な中でもスムーズに工程管理を行うことができました。これは当社ならではの強みとも言えます。」


 こうしてプロジェクト発足から3年後、納期どおりに完成した。
 試運転当日。全員が固唾を飲む中で、電源が入り機械の駆動音が鳴りはじめる。プラントが命を吹き込まれた瞬間だ。

「多くの人が心血を注いで作り上げたプラントが目の前で動き出す瞬間は、あの場にいた者にしかわからない感動があります。この巨大なプラントを自分たちの手で創りだしたという達成感と誇りを一番感じられるときですね。」

 試運転はいくつかの細かな調整を施すだけで無事に成功を果たす。しかし藤原はまだ気が抜けなかった。

「通常、新規に完成したプラントは”ならし運転”を経て徐々に処理量を増やしていくのですが、今回はスタートと同時にフル稼働する”垂直稼働”。能力は十分に確認できていましたが、いきなりのフル稼働で想定外の問題が発生する可能性も否定できませんでした。」

 それでもプラントは見事に藤原の期待に応え、垂直稼働を実現した。同時に藤原の長い緊張の日々がおわる。

「完成から2年目を迎える現在も、常時フル稼働で全国からの依頼に応え続けています。1日48tという全国屈指の処理能力をもつプラントが日々順調に稼働を果たすことでPCB汚染という深刻な問題の収束に大いに役立っている。そう思うと感慨深いものがあります。困難と立ち向かい続けた3年間が、その苦労以上の成果を生み出している。その姿を見るにつけ、この仕事の醍醐味と、プラントの役割の重要性を感じずにはいられません。」